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防空壕での出来事 その1

2017.04.11.Tue.12:30
808 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 18:53:02.72 ID:S1kRq45M0

怖いかどうかは分らんが、昨日久しぶりに友人と酒を飲んでて思い出した話を一つ。
小さな事件だったけど、全国紙にも載ったし、ニュースにもなってたと思う。

登場人物は、A=リーダー格。B=Aの幼馴染。C=大人しくて、頭がいい。D=俺。

俺の地元は、近年都市のベッドタウンとして開発されるまでは、結構寂れた寒村だった。
コンビニはおろか、自動販売機すらチャリで20分くらい走らないとないような田舎、と言えば分りやすいと思う。
で、当然そんな田舎に娯楽施設なんかもないわけで、
当時小学生だった俺たちは、家同士が近いこともあって、
小さな山(標高100m位)と、その麓にある公園で遊ぶのが日課となっていた。
かくれんぼや鬼ごっこはもちろん、
公園のほとりにある池では、鯉やフナ、ブルーギル、ブラックバスなど色々な魚が釣れるし、
山に入れば、クワガタやカブトが面白いように取れる。
俺達以外にも、小さな子を連れた母親たちが良く遊びに来ていたのを覚えている。


810 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 18:59:04.80 ID:S1kRq45M0
そんな中、Bが面白い話があると、ニヤニヤしながら俺たちを集めたのは、
丁度今頃のような、梅雨明けの蒸し暑い日の事だった。
小学校のグループワークで、地元の歴史について調べていたBは、地元史の中から面白い記述を見つけていた。
曰く、俺たちの遊び場となっていた山はいくつかの古墳が残っており、
戦時中はその古墳を利用して、陸軍の演習場及び武器や弾薬の倉庫、防空壕が存在していたというのだ。
陸軍・防空壕と聞いてドン引きする俺とC。
Aは興味をひかれたような顔をしていた。
B「なぁ~、面白そうだろ!! でさ、明日この防空壕に行ってみないか??」
怖いもの知らずのBは喜色満面。
怖がりな俺とCは断固として拒否したが、あろうことかリーダー格のAが賛成してしまった為に、
やむなく俺たちは、山中にあるという防空壕に行く事となってしまったのだ。


812 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:02:14.31 ID:S1kRq45M0
当日はうだるような暑さだった。
防空壕に行くのは心底嫌であったが、
皆を待たせるのも悪いと思って、学校から帰るとすぐに準備をして山の麓の公園へと向かった。
しかし、公園へ向かう途中に自転車のチェーンが外れてしまい、
結局、俺が公園につくころには、A・B・C全員が少し怒ったような顔で俺を待っていた。
A「なんだD。怖がって来ないかと思ったぞ」
B「遅いよ、何してたんだ!」
C「……帰りたい」
俺「あ、ゴメン。自転車のチェーンが外れちゃってさ」
俺がそう言うと、Aが少し怪訝な顔をしたまま俺の自転車の側にかがみこんで、
あっという間にチェーンをはめてしまった。

俺「うわっ、スゲー!ありがと!!」
A「うん。それよりも、早く行こうぜ。ここ暑い」
Aの一声で、俺達はいつも使っている小さなけもの道から山に入った。
Bが言うには、目的の防空壕は山の中腹当たりにあるらしい。
いつも山を駆けまわっていた俺達が見つけられなかったのだから、結構奥まった所にあるのだろう、
というのがBの見解だった。


813 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:05:06.41 ID:S1kRq45M0
俺「暑いね」
B「まぁな。でも、山の中は外と比べると涼しいよな」
C「日影だからね」
A「あちー」

山に入っておよそ30分。
学校での出来事やマンガの話をしているうちに、Bが大きな声を出した。
B「あっ、多分こっちだ!」
俺達の背丈と同じくらい伸びた草をかき分け、どこかで拾った木の枝で道を作って行くB。
俺は一番後ろで皆の後に続いた。

そしてしばらく歩いて行くと、Bが再び上機嫌に声を上げた。
B「あったーーーーー!!」
A「おぉ、本当にあったよ」
C「……うわー」
樹木の根もとに、その防空壕はひっそりと存在していた。


815 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:09:51.52 ID:S1kRq45M0
夏だというのに、なぜかその周辺はひんやりとした空気が立ち込め、
俺は暑さとは別の嫌な汗を額にびっしょりかいていた。
正直俺には霊感なんかない。それでも、なんとなく嫌な感じがしたのだ。
割とマジに「帰ろうよ」と言うが、テンションの上がっているAとBは聞く耳を持たず、
不安そうにしているCも俺を一瞥しただけで、雑草の生い茂る防空壕の暗い穴をジッと見つめている。
そうこうしているうちに、Bがリュックサックから懐中電灯を取り出した。
B「よっし、それじゃあ入ってみようぜ!」
A「おう!」
勇ましく防空壕の中に入っていく二人。
俺とCは顔を見合わせると、しぶしぶ二人に続いた。

防空壕の中は、外とは比べ物にならない位寒かった。
壁はびっしりと苔に覆われ、湿った空気とカビ臭さが不気味な雰囲気を強めている。
地面も湿っているのか、濡れた岩がぬるぬると滑って、何度かこけそうになった。
Bがふざけて顔を照らしたり、懐中電灯を消したりするものだから、俺達はその都度Bに文句を言う。


817 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:13:17.96 ID:S1kRq45M0
異変が起きたのは、入口から十数メートルほど進み、少し広い空間に出た時だった。
再びBがふざけて懐中電灯を消した瞬間、光源はBの持つ懐中電灯しかないのに、壕の奥に淡い光が見えたのだ。
暗闇の中での光源ほど目立つ物はない。
俺を含めてその場にいる全員がその光に気付き、そして誰ひとりとして声を上げるような奴はいなかった。
後から聞いた話では、Aは外への亀裂があるのかとぼんやり考えていたらしく、
Bについては、ビビって腰を抜かしていたらしい。

異変は続く。
初めは針の先程の光だった謎の光源は、チラチラと揺れるような動きを見せると、
徐々にその大きさを変えて行った。
針の先から米粒のような大きさに、さらに天道虫、ピンポン玉、野球ボール、
そしてその光が子犬位の大きさになった時、俺達は初めてやばい事になっていることに気付いた。
――あの光は近づいてきている
あの光がどういった物かは知らない。
ただ、とても怖かったのを覚えている。

俺達は一瞬でパニックになった。
我先に出口に向かおうとするが、隣の友人の顔すら見えない暗闇に加えて、足元が滑るせいで、
まともに先に進めない。


818 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:16:51.73 ID:S1kRq45M0
なおも謎の光は俺達に近づいてくる。
先ほどまで子犬程度の大きさだった光はいまや、ドッヂボール程の大きさにまで成長していた。
「うわぁああぁぁぁあああああああ!!」
防空壕の中に響き渡る俺達の絶叫。
手当たり次第に、持っていた木の枝や落ちていた石を光に向けて投げつける。
そのいくつかは確実に当たっているはずなのに、それらが物に当たるような手ごたえは無かった。
それでも、何度も躓き、膝をすりむきながら出口までたどり着いた俺達は、一目散に山の麓まで駆け下りた。

俺「何だ、何だよあれ!!?」
A「分んねーよ!! それよりBとCは!?」
Aの声に振り返ると、その場には俺とAしかいなかった。
B・Cの自転車はまだ残っている事から考えても、二人はまだあの防空壕に残されてしまっているらしい。
額から冷や汗が流れ落ちる。
俺「ど、どうすんだよ! あそこにまた戻るのか!? 俺はもう嫌だぞ!!」
A「俺だって嫌だよ!! でも、仕方ないだろ、あいつら二人置いとけねーよ!!」
走りだすA。俺は笑う膝を抑えて、Aの背中を追いかけた。


819 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:20:01.84 ID:S1kRq45M0
Bはすぐに見つかった。樹の下の防空壕の入り口で、懐中電灯を持ったまま気絶していたのだ。
軽く失禁していたようだが、膝や手のひらの傷以外目立った外傷はないように見えた。
AはBを俺に任せると言うと、Bの手から懐中電灯を奪い、一人防空壕の中に消えて行った。

どのくらい時間が経っただろうか。
実際には5分~10分程度だと思うが、一人待たされた俺が心細さと恐怖から半泣きになりかけていた頃に、
Aが防空壕の中から慌てた様子で飛び出して来た。
A「Cがいない!!」
俺「何で!?」
A「分らん! すれ違いになったのかもしらん。取りあえずBを運ぼう」
Bの腕を俺達の肩に回して、山を下る。
二人掛かりとはいえ、完全に気絶してしまっているBを抱えながら山を下るのはとても辛かった。

Bが目を覚ましたのはちょうど山を下りきり、自転車置き場にたどりついた時だった。
「ひぃ!!」と口の端を震わせて辺りを見渡したBは、
そこにAと俺がいることに気付くと、安堵して崩れ落ちた。


821 :本当にあった怖い名無し:2011/07/13(水) 19:22:37.05 ID:S1kRq45M0
A「おい、B大丈夫か?」
B「…………」
俺「怪我、痛くない?」
B「……首が」
A「首が痛いのか?」
Bは相当憔悴しているようで、まともに答えることは出来なかった。
ただ、しきりに首を撫でていたのが印象的だった。

要領を得ないBから視線を外し、ふと俺達の自転車を見ると、Cの自転車が無くなっていた。
俺「なぁ、Cの自転車」
A「なんだよ、先に帰ったのか」
俺「くそ、あいつ。俺怖いの我慢して残ったのに」
とりあえず、Bをこのまま放っておくことは出来ないし、Cも無事だという事が分った俺達は、
Bを支えるようにしてそれぞれの自宅へと戻った。
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